Inovator's Dilemma - Calayton M. Christensen

今更なんですが、イノベーションにおいて著名な本らしいので読んでみました。だいぶ前に刊行されているものなので、参考にしている技術は少し古い感じなのですが、納得して深く印象に残っていることが多かったです。商品開発をするときにはぜひこの内容を熟慮したいです。
 

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)

 
 
 
まず、1つ目はイノベーションサステイナブルの違い
イノベーションとは、いままで例を見ない技術・サービスのこと。
サステイナブルとは、パフォーマンスが向上したなど "改善" のこと。
 
イノベーションは0を1にすること。サステイナブルは1を2以上にすることと考えるとわかりやすいのかも。この本の中でS字曲線という表現がある。現代の技術革新の動きに当てはまるかはまた考えないといけない気がしますが、とりあえずS字曲線というのは、その字のごとく技術の発展はS字に似ているということ。まずイノベーションがある。そしてそこからいろいろな改善を繰り返して、その技術を軸にしたマーケットが拡大していく。ただし、技術の問題などで、だんだんと改善率が下がってくる。そして、あるとき、全く別の新しいイノベーションが起こり、古いイノベーションを飲み込んでしまう。
 
例えば、音楽。年齢がばれてしまうのかもしれないが、小さいときにカセットテープで音楽を聞いていた。だんだんと録音時間が長くなり10分の録音時間が120分ぐらい録音できるものがでてきた・・・・CD登場。CDの登場でいままで早送り・2倍速早送りなどしていたものが、ボタンひとつで2曲目、3曲目と移動できるようになった。そして、CDからDVDと移っていったと思ったら、クラウドyoutube。CDショップが淘汰されつつあり、みんなモバイルデバイスやmp3で聞くようになるといった感じです。

 イノベーションの場合は、だいたいの場合、はじめた会社や個人が優位にたつ。マージン(利益率)は高く設定できる。

ではどの会社でイノベーションが起きるのか?

大企業のほうが優秀な人が集まるし、人数をかけることができるから優位なのかと思ったが、小規模の会社、スタートアップ、小規模のチームの方がイノベーションを起こしやすいらしい。確かにイノベーションを起こしている会社はスタートアップから始めているものがほとんどだ。今では大企業になってしまった、シスコ、アップル、マイクロソフト、グーグル、ヤフー、フェイスブックなどもイノベーションからはじめていると思う。

 逆に技術の改善・向上に向いている企業は、大企業になる。これはある程度資金があるし、人数も多いからだろう。またすでに始めている企業があるので、だいたいのマーケット動向がわかる。コンサルタントも予想しやすい。

ただし、イノベーションの場合と比べ、改善はマージン(利益)が低い傾向にある。サービスを提供できる会社がたくさんでてくるので、当然、価格競争が始まる。また人によっては改善したものに高い価格を払うこともなく、お古でも問題ないと思う人もいる。これは、最近 iphone 6 が出ましたが、iphone5で十分だと思う人もいるということ。

 

ただ、参入時期は関係ないため、後から入ってきてもあまり大差はないため、安全策が好きな大企業向きの商品開発だろう。

 
二つ目は、製品の改善を進める場合の重要項目
上記のイノベーションというものは、ほぼ予想できない。では何をするか。改善だ。改善を進める場合、何でも改善すれば売り上げが上がるなんてことはない。主に重要な項目は4つ。パフォーマンス。信頼性。シンプルさ、使いやすさの4つ。顧客はこの4つが改善された場合、お金を出す可能性がある。ただし、あまり高いと売れない。とくに情報がそこらにある現代。お客様は選べるのだ。お客が機能的に十分だと思ったとき、その商品は価格競争に入る。

 

三つ目:イノベーションをする。

イノベーションとは予想できないものだ。イノベーションを進める場合は、前述のとおり大きい組織ほど難しいので、小規模プロジェクト、もしくは小回りのきく会社を立ち上げて、メインストリームからはずす。失敗しやすい環境を作ることが必要らしい。確かにびくびく失敗を恐れていたら、新しいものなんてできないもの。そして、それを正当に評価できるマネージメントがいたら苦労しない。だいたい、みんながダメだと言ったものが成功するのだ。そして、比較的小さいマーケットから始める。マーケットのニーズは聞いても大抵わからないことが多い。作った本人でさえ、使えるかどうかわからないものが以外とヒットしたりする。

 

いつもより長くなったのだけど、これは何か製品を開発する際に常に考えていたほうがいい事だと思う。失敗は勇気。